特長
●細胞に633nmのレーザーを照射して得られる前方散乱光(FSC)、側方散乱光(SSC)、側方蛍光(SFL)の信号を用いて、細胞をカウント・分類します。
●RBCチャンネルでは、シースフローDC(直流電流)検出法で赤血球数をカウントしています。
●RET(網赤血球)測定チャンネルを搭載し、Ret-He(網赤血球ヘモグロビン等量)も測定可能です。
●検体前処理をせずに、体液中の白血球数カウントと単核球(MN)多核球(PMN)分類が可能です。
機能説明
- 半導体レーザーを使用したフローサイトメトリー法の測定原理
半導体レーザーを使用したフローサイトメトリー法では、細胞に633nmのレーザーを照射して得られる前方散乱光(FSC)、側方散乱光(SSC)、側方蛍光(SFL)の信号を用いて、細胞をカウント・分類しています。 2種類の散乱光(FSC、SSC)は、細胞表面構造、粒子形状、核形態、屈折率および反射率などを反映し、一般的には、FSCは細胞が大きくなるほど、SSCは細胞内部構造が複雑になるほど信号が大きくなります。また、側方蛍光は主に核酸や細胞小器官の種類と多寡を反映しています。これら3つの信号からデジタル技術やアルゴリズムを駆使して、白血球、有核赤血球、網赤血球、血小板の分類・カウントおよび異常細胞や幼若細胞を検出しています。
- シースフローDC検出法の測定原理 RBCチャンネル
RBCチャンネルでは、シースフローDC(直流電流)検出法で赤血球数をカウントしています。ノズルの先端より希釈された試料が押し出され、血球はシース液に包まれてアパーチャ中央部の一定軌道を通過します。一つ一つの血球がアパーチャの中央部を通過するため、血球の容積情報を正確に計測します。またデジタル波形処理技術の革新により、細胞の信号だけを鋭敏に捕らえます。体腔液検体測定例(BFモード)では、全血モードの約3倍の粒子数をカウントしています。
SLS-ヘモグロビン法の測定原理 HGBチャンネル
SLS-ヘモグロビン法は、Sodium Lauryl Sulfate(SLS)を使用したヘモグロビン濃度測定法です。SLS-ヘモグロビン法の反応機序は以下のように考えられています。
■第1段階(SLSと赤血球膜との溶血反応)
SLSは赤血球膜に主としてイオン結合、副として疎水結合により吸着結合を起こします。同時に、吸着結合は赤血球膜のリン脂質の可溶化をもたらし、その結果、膜蛋白構造に変化を与えることにより、赤血球内部からヘモグロビンが流出すると推察されます(溶血)。
■第2段階(SLSによるグロビンの立体構造変化)
溶血と同時に遊離したヘモグロビンは、SLSの疎水基とグロビンの結合作用により、立体構造に変化を受けるものと考えられます。
■第3段階(酸素によるヘム鉄の酸化)
グロビンの立体構造変化と同時に、2価であるヘム鉄は、ヘム鉄と結合している酸素や溶存酸素によって容易に3価になります。
■第4段階(SLSの配位)
3価のヘム鉄にSLSの親水基が配位し、安定したSLS-ヘモグロビンが形成されます。SULFOLYSERを使用した場合、ここまでの反応は10秒以内に完了することが確認されています。
SLS-ヘモグロビンは、波長535nmに最大ピーク、560nmにショルダーピークを持つ吸収曲線を示します。装置内では、波長555nmの光を照射し、その吸光度を測定しています。
- RET測定(オプション)
小型モデルにRET(網赤血球)測定チャンネルを搭載し、Ret-He(網赤血球ヘモグロビン等量)も測定可能です。RETによる赤血球産生モニタリングやRet-Heによる網赤血球中のヘモグロビン動態がモニタリングできます。追加オプションによりIPF(幼若血小板比率:研究用項目)の測定が可能です。
- 体液測定(オプション)
検体の前処理なしに、体液中の白血球数カウントと単核球(MN)多核球(PMN)分類が可能です。主に慢性炎症、ウイルス感染症で単核球が、急性炎症時に多核球が増加すると言われています。その他、研究用項目として好中球(NE-BF)、リンパ球(LY-BF)、単球(MO-BF)、好酸球(EO-BF)の4分類が可能です。
低値白血球測定(オプション)
全血モードの約2倍の粒子数をカウントすることにより、低値の白血球を高精度に測定することが可能です。また、白血球低値時にも5分類報告が可能となり、化学療法および移植後の生着モニタリング等に活用できます。
その他の測定
赤血球/血小板系の研究用項目として、FRC(破砕赤血球)、HYPO-He(低色素性RBCの比率)、HYPER-He(高色素性RBCの比率)、MicroR(小型赤血球比率)、MacroR(大型赤血球比率)、RPI(網赤血球産生指標)、PLT-O(光学的検出法による血小板数)等の測定が可能です。
- ユーザビリティ
- 個別機能:サンプラ測定(XN-550)
■検体の随時追加
XN-550のサンプラは2つの引き出し(各10検体)に分かれており、測定動作中にも片側ラックは検体の随時追加が可能です。
■自動再検・再測定が可能
測定エラーの再検、測定結果を判定した再検、測定結果に応じた追加項目の測定を自動で行うことが可能です。
- SNCS mobile
■オンラインQC
日々の精度管理データをSNCSサーバーへ自動送信し、母集団のデータと比較することで、測定結果の信頼性をサポートします。
■コントロール表示値の自動配信
コントロールのロット変更時にSNCSサーバーから表示値を自動配信、登録ができます。手作業での表示値登録は不要です。
■Web情報サービス
パソコンからSNCS専用Webサイトへアクセスすることにより、シスメックスが蓄積してきた学術・技術情報等の豊富なコンテンツの閲覧が可能です。
■プロアクティブサービス故障予測
各種センサーにて取得した分析装置の動作情報をSNCSサーバーへ自動送信し、日々得られたデータをもとに分析・解析を行い、故障を予測、異常が発生した際には迅速なサポートを実施します。
- オプション対応表
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