特長
●WNRチャンネルでは、好塩基球以外の白血球、好塩基球、有核赤血球を分別して計測します。また、デブリス(溶血処理後の赤血球や血小板など)の影響を低減し、計測の精度を高めました。
●血球計測時には自動的に有核赤血球を測定しており、正確な白血球測定が可能です。
●クリアな分画と正確な分別の実現により、WNRチャンネルおよびWDFチャンネルでは低値白血球を測定することが可能です。また、PLT-Fチャンネルでは低値の血小板数を正確に測定します。
●WPCチャンネルでは、おもに骨髄芽球などの幼若細胞やリンパ球系の異常細胞を高感度に検知します。幼若/異常細胞および成熟白血球の各集団がスキャッタグラムに表示されます。
●脳髄液、腹水、胸水、滑液などの体液を解析します。特別な前処理を必要とせず、体液中の白血球(WBC-BF), 単核球, 多形核球, 赤血球(RBC-BF)の測定が可能です。
●拡張性が高く、豊富なオプションで多様なニーズに対応します。
●最新の機能と解析方法により、検査業務の効率化に貢献します。
●濃縮試薬の使用により、省スペース化を実現しました。
●複数のユニットを一括管理できます。
機能説明
- 従来の精度管理に加え、専用キャリブレータにより正確な検査データを提供
コントロール血液や通常検体を使った精度管理により、日常的に装置や試薬の性能を監視できることに加え、専用キャリブレータを用いた校正サービス(SCSパック)を実施することで、より正確な検査データを提供します。
- 半導体レーザーを使用したフローサイトメトリー法の測定原理
半導体レーザーを使用したフローサイトメトリー法では、細胞に633nmのレーザーを照射して得られる前方散乱光(FSC)、側方散乱光(SSC)、側方蛍光(SFL)の信号を用いて、細胞をカウント・分類しています。 2種類の散乱光(FSC、SSC)は、細胞表面構造、粒子形状、核形態、屈折率および反射率などを反映し、一般的には、FSCは細胞が大きくなるほど、SSCは細胞内部構造が複雑になるほど信号が大きくなります。また、側方蛍光は主に核酸や細胞小器官の種類と多寡を反映しています。これら3つの信号からデジタル技術やアルゴリズムを駆使して、白血球、有核赤血球、網赤血球、血小板の分類・カウントおよび異常細胞や幼若細胞を検出しています。
- シースフローDC検出法の測定原理 RBCチャンネル
RBCチャンネルでは、シースフローDC(直流電流)検出法で赤血球数をカウントしています。ノズルの先端より希釈された試料が押し出され、血球はシース液に包まれてアパーチャ中央部の一定軌道を通過します。一つ一つの血球がアパーチャの中央部を通過するため、血球の容積情報を正確に計測します。またデジタル波形処理技術の革新により、細胞の信号だけを鋭敏に捕らえます。体腔液検体測定例(BFモード)では、全血モードの約3倍の粒子数をカウントしています。
SLS-ヘモグロビン法の測定原理 HGBチャンネル
SLS-ヘモグロビン法は、Sodium Lauryl Sulfate(SLS)を使用したヘモグロビン濃度測定法です。SLS-ヘモグロビン法の反応機序は以下のように考えられています。
■第1段階(SLSと赤血球膜との溶血反応)
SLSは赤血球膜に主としてイオン結合、副として疎水結合により吸着結合を起こします。同時に、吸着結合は赤血球膜のリン脂質の可溶化をもたらし、その結果、膜蛋白構造に変化を与えることにより、赤血球内部からヘモグロビンが流出すると推察されます(溶血)。
■第2段階(SLSによるグロビンの立体構造変化)
溶血と同時に遊離したヘモグロビンは、SLSの疎水基とグロビンの結合作用により、立体構造に変化を受けるものと考えられます。
■第3段階(酸素によるヘム鉄の酸化)
グロビンの立体構造変化と同時に、2価であるヘム鉄は、ヘム鉄と結合している酸素や溶存酸素によって容易に3価になります。
■第4段階(SLSの配位)
3価のヘム鉄にSLSの親水基が配位し、安定したSLS-ヘモグロビンが形成されます。SULFOLYSERを使用した場合、ここまでの反応は10秒以内に完了することが確認されています。
SLS-ヘモグロビンは、波長535nmに最大ピーク、560nmにショルダーピークを持つ吸収曲線を示します。装置内では、波長555nmの光を照射し、その吸光度を測定しています。
- WNRチャンネル
試薬:ライザセルWNR, フルオロセルWNR
WNRチャンネルでは、白血球のカウント、好塩基球および有核赤血球の分類・カウントをします。ライザセルWNR中の界面活性剤の作用により、赤血球を溶血させるとともに、白血球の細胞膜を透過します。各白血球は細胞特性により外形や内部構造がそれぞれ変化します。この形態的差異を前方散乱光(FSC)で捕らえることにより、好塩基球とそれ以外の白血球と区別してカウントします。フルオロセルWNRは白血球および有核赤血球の核酸や細胞小器官を蛍光染色します。白血球はライザセルWNR中において有核赤血球より染色部位が保持される傾向にあり、有核赤血球よりも蛍光強度が強くなります。この蛍光量の差異により有核赤血球とその他の白血球を区別してカウントします。
- WDFチャンネル
試薬:ライザセルWDF, フルオロセルWDF
WDFチャンネルでは、好中球、リンパ球、単球および好酸球の分類・カウントと幼若白血球および異型リンパ球などの異常細胞を検出します。ライザセルWDF中の界面活性剤により赤血球および血小板を溶血、溶解させ、また白血球の細胞膜を透過します。各白血球はその特徴により細胞形態が変化し、その差異を側方散乱光で区別します。その後、フルオロセルWDF中の蛍光色素が細胞内に入り、核酸および細胞小器官を染色します。核酸および細胞小器官の種類と多寡により各白血球の蛍光強度に差が生じます。各白血球のもつ散乱光と蛍光の差異を独自のアルゴリズムでクラスター解析することで、さまざまな細胞のカウント、分類および異常細胞のフラッギングを行うことができます。
- WPCチャンネル(XN-20のみ)
試薬:ライザセルWPC, フルオロセルWPC
WPCチャンネルでは、芽球、リンパ球系の異常細胞を検出します。ライザセルWPC中の界面活性剤により赤血球および血小板を溶血、溶解させ、また白血球の細胞膜を透過します。その後、フルオロセルWPC中の蛍光色素が細胞内に入り核酸などを染色し、白血球および異常細胞集団を検出します。芽球やリンパ球系の異常細胞は、疾患や症例によって様々な性質を持っており、ライザセルWPC中の界面活性剤や、フルオロセルWPC中の蛍光色素に対する反応において、形態変化や染色性など正常細胞とは違ったさまざまな差異が生じます。この反応性の違いは、散乱光強度や蛍光強度に反映され、独自のアルゴリズムにより異常細胞やその集団を検知します。
- RETチャンネル(XN-10はオプション)
試薬:セルパックDFL, フルオロセルRET
RETチャンネルでは、フルオロセルRET中の蛍光色素がセルパックDFLで処理された網赤血球および白血球の核酸などを蛍光染色し、これらの細胞と成熟赤血球を蛍光強度の違いにより分類しています。
- PLT-Fチャンネル(オプション)
試薬:セルパックDFL、フルオロセルPLT
PLT-Fチャンネルでは、フルオロセルPLT中の蛍光色素がセルパックDFLで処理された血小板を染色し、カウントしています。また、蛍光強度の強い領域をIPF(Immature platelet fraction)として分画します。前方散乱光と蛍光強度の違いにより、血小板とそれ以外の血球を明確に区別します。
- 体腔液検体測定例(BFモード)(オプション)
試薬:ライザセルWDF、フルオロセルWDF
WDFチャンネルでは、白血球数のカウントと白血球を単核球(MN)、多形核球(PMN)に分類します。ライザセルWDF中の界面活性剤により赤血球を溶血、溶解させ、また白血球の細胞膜を透過します。その後、フルオロセルWDF中の蛍光色素が細胞内に入り、核酸および細胞小器官を染色します。血球以外の細胞(中皮細胞や上皮由来の腫瘍細胞などの異常細胞)も同様に染色されます。各細胞のもつ散乱光と蛍光の差異を独自のアルゴリズムで解析することで、白血球数のカウント、分類および異常細胞の検出を行うことができます。BFモードでは、全血モードの約10倍の粒子数をカウントしています。
- 低値白血球測定精度の向上
低値白血球モードにより低値白血球検査の精度が向上しました。従来、自動分析装置では困難であった低値白血球での好中球数報告が可能となり、化学療法および移植後の生着のモニタリングに活用いただけます。目視分類の作業工数の低減にもつながり、迅速で正確な検査結果をご提供します。
- 低値PLT測定精度の向上
PLT-Fチャンネルにより低値血小板検査の精度が向上しました。造血幹細胞移植後のPLT回復時など細胞療法の管理における低値血小板モニタリングや、血小板輸血において、低値領域でも信頼性の高い結果をご提供します。
- プロアクティブサービスでいつも安心して検査が可能
■分析装置を遠隔監視、故障を予知して迅速サポートを提供
圧力系、電気系、流体系の部品をセンサで遠隔監視します。日々得られたデータをもとに分析・解析を行い、装置の故障を予知し、プロアクティブサービスを提供します。
■装置ログをリアルタイムに取得してトラブルを予防
分析装置の動作情報(ログ)をリアルタイムにシスメックスへ自動転送します。ログを解析することで情報の異常を常にモニターし、故障発生の予防をするとともに、異常が発生した場合は、迅速なサポートを実施します。
■装置の動作回数に基づく定期部品交換
装置の使用頻度に応じて、必要な時に効果的に部品を交換することで装置のコンディションを維持します。
- 外部精度管理システムと校正サービスでダブルの安心を提供
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